レンタルからシェアへ

この時期、私が所属する大学では、就職活動が一段落した学生たちが卒業論文に本格的に取り組みはじめています。(実は、かなり遅いのですが・・・)
今年は就職活動のスケジュールが変更になり、6月から”解禁”となりました。解禁とは名ばかりで、ほとんどの大手企業はフライングで採用活動を行い、6月の早い時期に”内々定”を出し、かなりの学生は就職活動を終えています。
学生たちは、就活中心の生活から卒業研究へと学生生活の軸をシフトをしていくわけですが、これがけっこう大変な大学教員と学生との”せめぎ合い”になります。
さて、、今回は、最近注目されている新しいタイプのファッションレンタルサービスについて書きます。私の研究室の学生が卒論のテーマにしています。20代~40代女性をターゲットにしたサービスがほとんどで、私にはほとんど縁のない分野ですが、興味深い動きですので取り上げてみました。
■ 「ファッション サブスクリプション」とは!?
ファッション サブスクリプション、あるいは、クロージング サブスクリプション(Clothing Subscription)と呼ばれるこのサービスは、洋服を購入するのではなく定額で借りるというサービスです。米国で2012年頃から始まったビジネスモデルのようです。(サブスクリプションという用語は、本来、予約金や予約購読という意味があり、ソフトウエアのレンタルでも使われていますね。)
そのサービスの仕組みは、毎月定額料金を払うことで、洋服やアクセサリーがレンタルでき、使わなくなったら返却し、別のアイテムを借りることが出来るというものです。スタイリストが自分の好みをもとに選んでくれるサービスや自分で選択して借りるサービスもあります。
日本でも昨年ぐらいから多くのサービスが立ち上がっています。
プロスタイリストが選ぶ洋服が自宅に届くサービスである「airCloset」、
https://www.air-closet.com/users/sign_in
アパレルメーカー初の日常着のレンタルサービスである「mechakari」、
https://mechakari.com/
月額500円から借りることが出来る「Licie」
https://licie.jp/
などが代表的なサービスのようです。
利用料金は、月額5000円~6000円ぐらいが多いようです。
■ レンタルからシェアへ
ファッションのレンタルサービスは従来からありました。結婚式の衣装から入学式・卒業式の羽織・袴まで、限定された分野での需要は続いています。ところが、今回紹介したファッション サブスクリプションは、従来の衣装レンタルとは異なるようです。
一番の違いは、普段着を借りていることです。さまざまなファッションを楽しむために、レンタルを活用していることです。さらに、個人で楽しむだけでなくInstagramなどで写真を共有していることも特徴です。なによりも、最新のファッションにいち早く接することが出来る点が魅力のようです。
■ 共有型経済の先駆者
最近読んだ「限界費用ゼロ社会」という書籍に以下のような記述がありました。
「人々は日々、協働型消費を実践している--・・協働型消費によって、製品やサービスを所有するよりも、それにアクセスできるほうがはるかに利点が大きいことに人々は気づき、同時にお金や空間や時間を節約して、新しい友人を作り、再び活動的な市民となることも可能だと悟った。」
情報を初めとするテクノロジーの進化により、限界費用(モノの生産に関わる単位コスト)は限りなくゼロに近づき、新しい共有型経済が出現するとする考え方です。
シェアリング・エコノミーは、本メルマガでも以前取り上げられたことがあります。自動車のライドシェアや宿泊予約のエアービーアンドビーなどが有名ですが、シェアの動きは確実に社会全体へ拡大しつつあります。
ここまでメルマガを書いてきて気づいたことは、多くの文章が”・・のようです。”との表現になっている点です。”・・である。”と断言できないところが、これらのサービスを活用している女性たちとのファッション感覚の断絶を痛感します。
<参考文献>
・Text.Fashion Tech Lab:「〈Clothing Subscription〉国内の代表的な月額定 額ファッションレンタルサービス3つを比較してみました。」
http://stylermag.link/2015/12/07/fashiontechlab-clothing-subscription-417/
・TABI LABO:アメリカで大人気「ファッションサブスクリプション」って?
http://tabi-labo.com/268895/fashion-subscription/
・松澤真子「クロージングサブスクリプションから見る消費者マインドの変化」 宮城大学事業構想学部事業計画学科:卒論資料
・ジェレミー・リフキン「限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭」 NHK出版
<注>
ITコーディネータ京都メールマガジンより引用(一部改訂)
http://www.itc-kyoto.jp/2016/07/18/レンタルからシェアへ-藤原-正樹/