研究期間:2012年4月~2015年3月

共同研究者:宮城大学 藤原正樹
宮城大学 高力美由紀

 本研究の目的は、被災地企業のサプライチェーン再建に向けた施策を提言していくことである。全国の顧客とつながる成功モデルを提案することで復興への取り組みを促進する。サプライチェーン再建に向けた試みは、①新興流通業者との連携により消費地とつながる取り組み、②震災復興ファンドの出資者を顧客としてつながる試み、③Webサイトによる情報発信・販売の取り組み、などが行われており、これを統合的な施策として推進する方向を提言する。

震災後の街作りや地域再興に向けた取り組みは進んでおり、多くの先行研究も存在する。被災地の経済的復興に不可欠な企業の経営再建に向けた取り組みも進んでいる。他方で、被災地企業の復興に不可欠な販路開拓・サプライチェーン再建の取り組みは、個別企業にゆだねられているのが現状である。個別企業の取り組みを超えた組織的な販路開拓・サプライチェーン再建の方向を提言するのが本研究の独自性である。

サプライチェーンの設計と管理については多くの先行研究が存在している。ロジスティック戦略やそのネットワークに関する研究がほとんどであり、被災地の復興に不可欠な「消費地と生産地(被災地)をつなぐ”顔の見える”サプライチェーン」に関する研究は見られない。今回の研究では、生産地と消費地がお互いに顔の見えるネットワークでつながり合うサプライチェーンマネジメントを構想する。

このようなサプライチェーンを構想する上で、最新のネットワーク環境であるソーシャルメディアの活用は有用である。ソーシャルメディアの特徴は、バーチャルなインターネット上にコミュニティを形成し、場所と時間を超えた人々の交流を実現できるのが特徴である。このソーシャルメディア環境は、”消費地と生産地が顔の見える交流を実現”する上で有効である。