IT経営カンファレンス2021inKYOTOの開催にあたって
3月15日(火)にIT経営カンファレンス2021inKYOTO:京都市中小企業デジタル化推進事業成果事例発表会が開催されます。
IT経営カンファレンス2021inKYOTOの開催目的、今後の展望を中心に書きます。
京都市、京都府中小企業団体中央会、ITコーディネータ京都、3団体での主催
今年度のIT経営カンファレンスの最大の特徴は、この3団体での主催となっている点です。
カンファレンスのタイトルが、“京都市中小企業デジタル化推進事業成果事例発表会”となっているように、昨年5月から募集が開始された京都市「中小企業デジタル化推進事業」に採択された企業の事例発表を中心に開催されます。この事業には200社を超える地元中小企業の応募があり、その中から百数十社が採択されデジタルを活用した事業変革・新規事業開拓に取り組みました。京都市の元で、京都府中小企業団体中央会が事業主体となり、ITコーディネータ京都は採択された企業を支援する専門家として関わりました。
図1 支援の流れ
出所:【広報資料】「中小企業デジタル化推進事業」の支援対象者の募集について
https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000284709.html
ITコーディネータ京都の取り組み
ITコーディネータ京都は、京都市「中小企業デジタル化推進事業」に専門家として関わり、30名余のITCが参画しました。担当するITCを専門家個人として企業に派遣するのではなく、ITコーディネータ京都としての組織的実施体制を構築し取り組みました。
図2 ITコーディネータ京都の実施体制
ITコーディネータの役割は、採択された事業者と共にその企業の経営課題や業務課題を整理し、どの部分にどのようなITを利活用するかを決めていくことです。単なる申請書の作成支援にとどまらないデジタルを活用した経営改革の支援にあります。
IT経営カンファレンス2021inKYOTOの役割
3月15日のカンファレンスでは、京都市「中小企業デジタル化推進事業」に採択された企業から4社が代表して事例報告を行います。4社の事例の特徴を見ると、京都らしい伝統産業や従来型のアナログ的ビジネスでありながら、デジタルを活用することで新たな価値を訴求している点です。
GreenOceanzは、京焼清水焼のサブスクリプション(月額定額制)ビジネスに取り組んでいます。サブスクビジネスは、音楽や自動車、ファッションなどに拡大していますが、伝統工芸品のサブスクは前例が無く将来が期待されます。
京都表具協同組合は、伝統産業である京表具を紹介するWeb上のシミュレーターを引き継ぎ、ECサイトの構築に取り組みました。
大原商店は、従来型の基幹システム再構築にとどまらず、Kintoneを使ったローコード開発に取り組み新しいタイプの基幹システム構築をすすめています。
移動する竹村商店は、移動式やきいも販売のデジタル化というユニークな取り組みです。やきいも移動販売という“超アナログ”なビジネスにGPSやTwitterを組み合わせることで顧客との新たな関係を構築しています。
今回の「中小企業デジタル化推進事業」は、デジタル化には馴染まないと思われてきた伝統産業やアナログビジネスであっても、デジタルを活用することで新たなビジネスの可能性が生まれることを示しています。デジタルを取り込むことにより伝統産業などが持っていた強みや特徴がより明確になり、顧客に新たな価値を提供することが可能になっています。
3月15日の「IT経営カンファレンス2021inKYOTO:京都市中小企業デジタル化推進事業成果事例発表会」には地元の多くの中小企業の方に参加いただきたいと思っています。コロナ禍という厳しい経営環境下で、事業の変革に取り組む“きっかけ”をもたらすカンファレンスです。
【参考文献】
◆京都市中小企業デジタル化推進事業成果事例発表会 IT経営カンファレンス2021 in KYOTO
2021年度 – ITコーディネータ京都 (itc-kyoto.jp)
◆NPO法人ITコーディネータ京都:経営とITの話:2022年3月8日より転載
IT経営カンファレンス2021inKYOTOの開催にあたって/藤原 正樹 – ITコーディネータ京都 (itc-kyoto.jp)